「…某が、へ出陣するのでございますか?」
信長のらに控えていた光秀は、眉を寄せて主君の面差しをいだ。
「そうじゃ。備中へ参り、をよくよく致すのだ」
「猿…、秀吉殿を」
この頃、信長に備中(岡山県西部)高松城の攻略を命じられていた羽柴秀吉は、
城を水攻めにするなどして奮闘していたが、そこへ中国のが、【公司報稅教學】避免罰款,報稅手續你要知!
吉川元春、小早川隆景らと共に、総勢四万の大軍を率いて備中に進攻して来たのである。
そこで秀吉は
『 、最後の仕上げは上様に── 』
と、援軍をすると共に、信長自身の出馬救援を願ったのである。
「ちに支度せよ。既にらにも出陣を命じておるでのう」
「しかしながら上様、某にはまだ、饗応役としての務めが…」
「それはもうよい。他の者に任せる」
「……左様に、ございますか」
途中で役目をかれるのは、武士としては恥ずべきことであったが、
主君の命令とあれば、従わざるを得なかった。
「では、直ちに支度にかかりまする」
光秀が頭を下げ、その場を去ろうとすると
「待て、光秀」
信長が光秀の背に呼びかけた。
光秀は再び地に片膝をついて控える。
「此度の、勝利すれば褒美として、をそちにくれてやろう」
信長の言葉に、光秀は微かに笑みを浮かべる。
「有り難う存じまする。上様のにも、この光秀、力を尽くして…」
「じゃが、今のそちの領地である・丹後は没収とする」
「 ! 」
光秀は双眼を広げ、の表情で信長を見つめた。
「お、おれを…。丹波・丹後を取り上げられては、我が軍の拠点がなくなってしまいまする!」
「戯れではない。今よりそちの領地は召し上げとする」
「…しかしながら、石見も出雲も、今はまだ毛利家の領地にございまする! もしも勝利することが出来なければ、
我が一族だけでなく、某に仕える多くの家臣の一族までもが、路頭に迷ってしまいまする!」
「そんなことは知らぬ」
信長のに光秀は愕然となった。
「路頭に迷わせたくなければ、死に物狂いで戦勝を掴むのだ。 ──この信長が、天下布武を成し遂げる為の、としてのう」
「……駒…」
光秀は茫然として呟くと、れ、奥歯をぐっと噛み締めた。
『 やはりこのお方にとって、家臣などは捨て駒──。己の野望を叶える為の、道具に過ぎぬということか 』
『 さもあろう。上様はかつての織田家筆頭家老・林様や、重臣・佐久間様を、
大した理由もないのに突然 解雇なされたお方じゃ。長年 仕えて参られた家臣でもと切り捨てられる…それが上様じゃ 』
光秀は心の中でそう叫びながらも、その感情をおくびにも出さず、ゆったりと一礼を垂れると
「承知致しました。すぐに出陣の支度にかかりまする」
事もなげな様子で、信長の側から去って行った。
信長は振り返り、遠退いてゆく光秀の背中を見つめた。
その顔には先程までの傲慢さはなく、ろ、寂しそうな風情をわせていた。
「──光秀殿の領地をお召し上げになるとは、なる了見でございます!?」
の御座所に立ち寄った信長から、光秀の一件を聞かされた濃姫は、思わずした。
いつにない正室の剣幕に、信長も人が変わったようにたじたじになる。
「…じゃから、それは、あの者が戦に勝利すれば良いだけの話であろうが」
「負けでもしたら